DEATH NOTE新作読み切り感想(ハイパー完全ネタバレ注意)
いやー!!
なんかすごいのが出ましたね!!
DEATH NOTE 新作読切ネーム(小畑健版)/小畑健展開催記念!期間限定特別公開! - 大場つぐみ/小畑健 | 少年ジャンプ+
全編をネームで先行公開ってのはなかなか面白いと思います。
とはいえちゃんと完成版の雑誌掲載予定もありますし、最後まで読破していることを前提として話すのでネタバレしたくない人は回避プリーズ!!
※仕切り代わりのアフィリエイト
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※ここからネタバレ
はいもう文句は聞かないぜ!!
さて。昨日一気に読んで、今日もう一度読み直しました。
一言で言うなら、後味の悪さまで含めて最高でした。
ある意味で、今回の主人公は完全勝利なんですよね。
・ルールを完璧に利用し、運用している。
・一人も殺していない。
・個人情報を全くL(=ニア)に掴まれていない。
・リュークの所持するデスノートを、少なくとも今回は人間界からの放逐に成功している。
・彼自身は一切の違法行為を行っていない。
うーん素晴らしい。
最後の死はあれはゲーム終了後のルール変更という、いわば死神大王が禁じ手使ったようなものなので、まさしく「知的ゲーム」として見るなら主人公のパーフェクトゲームです。
で、これってきっと彼が「何者にもなろうとしなかったから」なんですよね。
夜神月は序盤で既に「僕は新世界の神になる」って言ってるわけです。つまり自分がオンリーワンたる存在になることを目的としている。
そうなると、いくら陰から全てを操ろうとしても、絶対に埋没はできないわけです。
逆に言えば今作の主人公は、ひたすらに集団に自分を溶け込ませ、自分の存在感を無にしています。
これは現在のL、つまり原作時代のニアが言ってたことですが、ある意味でこれは彼が「デスノートを手放すための手段」でしかなかったんですよね。
おそらく彼がもし最後に「金を受け取ったらお前は死ぬ」という忠告を受けていたら、全く躊躇なく口座を放棄した可能性が高いとも思います。躊躇したとしても命と引き換えなら放棄しただろうし。
しかし、彼の頭脳、そしてこの作戦を実現する度胸ってのは、間違いなく失われたことそのものが世界にとっての損失レベルだとは思いますが。
彼自身がここで人生を終わることに対して未練があったかというと、ないかもしれません。なさそう。
だって完全勝利してるもん。
彼がいかに有能であるといえ、世界を操るレベルのゲームを行うことができる機会なんてもう訪れない可能性の方が高いです。
それに完全勝利した後の人生なんてマジで余生だと思うんだよな……。
さらに言えば、もはやこのゲームを行うことのできる人間は存在しません。
だって彼は死神の世界におけるルールまでも変えさせてしまったのですから。
ついでに言えばそのルール変更のおかげで、彼は世界に「抑止力」だけを残して「破壊力」そのものは死神界に返しちゃったんですよね。
逆説的だけどこれ、本来のキラ=夜神月が12巻もかけてやったことよりもずっとデカい影響を世界に恒久的に与えてるとすら言えるんだぜ……やばくないっすか……。
ちなみに、彼の死によって1つだけ、このゲームの勝利が1つ覆る可能性があると思います。
それは「ニアに自分がαキラであると捕捉されること」ですね。
もしもニアが、主人公の死を何らかの形で知ったとしたら、おそらくニアは「主人公=αキラである」ことを推測できると思います。
しかしこれニアの勝利でもなんでもないんですよね……。
だってニアの目的、今回は彼と会って話したい、でしかなかったっぽいですし。
死んでから捕捉できても全然嬉しくないし、むしろこんちくしょー案件レベルです。
つかね、ニアは実は、ここで負けたこと案外面白がってたかもしれないと思わなくもないんです。この件って放置しといても別に実害があるかっていったら、ないです。
そこが夜神月=キラ事件と全く違うところですよね。
ある意味でニアは全く純粋な知的勝負に、デメリットなしで敗北したわけですよ。それって今まで勝利しかしてこなかった頭脳プレーヤーにとって、すっごく面白いことかもしれないじゃないですか?
世界に自分を出し抜くことのできる頭脳がいる、それも犯罪行為を一切行っていない、倫理観としてはほぼ真っ当な人間なんです。ついでにデスノートなんて長期間所持していたくないよ、という小市民的感性の持ち主でもある。
ニアってのはおそらくですが、一般的な基準から言ったら異常者であると思いますし、犠牲を全く出したくないというほどの倫理観も持ってはいないと思います。
むしろまぁ犠牲は少ない方がコスパいいよね、程度に頑張ってるだけかもしれない。
そんなニアが、頭脳は自分に匹敵し、それでいて感覚は多数の一般人に近いであろう存在と、直接邂逅する永続的に失われたとか超悔しいと思うなー!!
ある意味で、この作品自体がデスノート本編の一種のアンチテーゼに近い面もあると思うんですよ。
夜神月の死は、一種の勧善懲悪的エンディングになっています。
今作主人公の死は、ぶっちゃけると単なる胸糞です。あっこれ作品がってことじゃなくてね!
結局は何らの犯罪行為もせず、ただ「デスノートを手放すこと」を第一目標とした少年が、その目的を達成したがために理不尽に死んだという話なんですよ。
これは短編でありながら、デスノート本編に対して完全なる対称性を描いた物語と言えると思います。
私は今作主人公に敬意を評して、この感想に一切の彼の名前を出さないという表現を取ることにしました。
彼はこの作品においては主人公であっても、「この物語」の中で一切の役割を、名前を持たない単なる「役割」として果たしているからです。
おそらくではありますが、12巻かけて描かれた物語の主人公である夜神月の死より、短編でしか描かれなかった今作主人公の死の方が、読者に与えたショックは大きいんじゃないかな、とも思います。
まぁほら夜神月はもう神になれないなら死ぬしかなかったもん。それは正直ストーリーとして見えていましたし、むしろ下手に記憶を失って生きてたりしたらそっちの方がこんちくしょう案件でしかなかったですからね!!
最後に。
松田くんはほんっと何年経っても正義感強いし行動が無謀でかっわいーですね!
そういうとこ好きっすよ!ほんと!
以上をもってデスノート新作読み切り感想ハイパーネタバレ回を終わります。