三十路になった発達障害児の心に浮かぶよしなしごと

ADHDとASDを脳内に引っさげて今日もブレーキのないまま止まるかぶつかるまでアクセルを全開にするんだ。


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ラグビー日本代表の「犠牲にしてきた」という言葉から色々考察してみる

財前光というキャラがいる。
テニスの王子様に登場する四天宝寺中学校の2年生だ。
日課はブログの更新という彼を私は「日課でブログを更新できる有能なブロガー」と呼んだ――

元ネタの文章がわかる人は友達になってください。
毎日ブログを更新できないたどっちです。体力と気力と継続力ってどうやったら身につくん……?


そして全く関係ないんですがラグビー日本代表お疲れさまでした!!
ラグビーの流れすら知らなかった私がとりあえずどういう流れで試合が行われてどんなものが反則なのか理解できるようになったのは、だいたいNHKの右下で出してくれる反則の解説とかのおかげです。ありがとうNHK。ほんっと政治関係以外の番組作りはすごく上手いんだよなNHK
日本代表のトンプソン選手が試合後インタビューの第一声で「さみしい」って言ってくれましたが、本当に「負けて寂しいな」って思うスポーツの試合は久しぶりだったと感じます。
さて。
アイルランド戦が終わった後のインタビューで田村選手が

「誰も勝つと思ってないし、誰も接戦になるとも思ってないし、誰も僕らがどれだけのものを犠牲にしたか分からないし、信じてるのは僕たちだけ、というメッセージをジェイミーがくれた」という発言をしています。
www.jiji.com

このジェイミーはジェイミー・ジョセフヘッドコーチのことなのですが、実際にラグビー日本代表の選手達の中に、一定して『自分達は犠牲を払ってきた』という1つの共通認識があるのではないかと思います。
なんせ今年だけで240日間の合宿をしてきたらしいからな……日当100ドルで……。
9月までの日数が272日間なので9割くらいは合宿です。凄いな。
president.jp

ちなみにこの記事の論点として「世界で活躍する選手が日当1万円(≒100ドル)でいいのか」ということになっていますが、私としてはそれよりもヘッドコーチは「日本代表としては日当100ドルなのでアマチュア」つまり「日給1万円はボランティアの領域」くらいのことを言ってるわけで、別の意味で日本大丈夫かって思いますがそれはとりあえず棚上げします。今度語りたいと思います。


稲垣選手のTwitterでも開幕前日にこのような発言がされているように、まさしく「いろんなものを犠牲にしてきた」という感覚はおそらく日本代表全体に共通するものであると思われます。

しかし、こうして使われている「犠牲」を何のために払ったのか、というのが、ジョセフヘッドコーチや稲垣選手の言葉では凄く明白なんですよね。
要するに試合の勝利のためであり、かつそのための自分達、そしてチーム全体の強化のためです。
実際外国人選手も家族持ちの選手もいるのにこの凄まじい合宿日数と練習量を確保したのは素直に感嘆しますし、まさにモチベーションを保ちつつ共通の目標に向かって邁進したこと、そして今回の決勝リーグ進出という結果の中に「自分達が払ってきた犠牲」を意識していたのは確かだと思います。

ある意味で「自己犠牲」ではないんですよね。
なぜならば、彼らは「自分達が犠牲にしたもの」の代わりに「自分達の強さ」を得ているからです。要するに「他のことに費やしたかった時間」も「練習時間」に費やしたから、とかのような、ある種の等価交換です。
実際はヘッドコーチが「日当100ドルでやってもらってるので日本代表としてはアマチュアだ」という表現をしているように、いわゆるスポーツ選手として「正当な報酬を得られない」という点も犠牲に含めているような気もします。ラグビーって英国系のミッションスクールの学生スポーツから来てるから、結構アマチュアスポーツであるっていうことに重きを置いている傾向はあると思うので。
つまりは「犠牲」によって得られたものが明確であるからこそ、「犠牲にしてきた」という言葉が自分達を勇気づけるものとして機能しているのだと思います。

で、だ。何が言いたいのかと言うと。
これを「ラグビー日本代表もいろんなものを犠牲にしてきたんだからお前らも犠牲にしろ」みたいな風に何らかの形で利用された瞬間、この「犠牲」という言葉は特に意味のない「自己犠牲」に成り果てると思うんですよ。
下手すると単なる「自己犠牲精神の利用」にもなります。

ラグビー日本代表が共通認識として「犠牲にしてきたものの分だけ強くなった」と思っているからこそ、それが強いのであって。
その「犠牲」を強制されたら、別にそれは共通の経験にも認識にもならないと思うんですよ。押し付けられただけで。
あとこれって凄く「搾取する側に便利」な言葉になりがちなので、とりあえず週明けの部活とか仕事とかでそういうこと言い出す教師や上司がいたら「あっこいつなんも理解してないな」と冷たい目をするのがいいと思います。

ちなみに実際、私が中学時代はハードな吹奏楽部に入っていたわけですけど、同じように「犠牲にしてきたものの分だけコンクールで実力が出せる」って言われてもおそらく冷たい目になります。
だって……練習時間決めたの先生じゃん……。
夏休みを「犠牲にさせられた」だけで、別に何も自分から犠牲にしたわけじゃないし、だいたい吹奏楽の長時間練習って割と非効率だと思うんですけどどうなんですかね。唇疲れるじゃないですかアレ。徐々に音出なくなってくるし。唇しびれて。
で、上から覚悟が足りないだの意識が足りないだの曖昧な怒られ方をして、先生の熱血に付き合わされて、むしろ楽器吹いてないで怒られてたあたりの時間は普通に無駄では。休憩時間だと考えても無駄では。曖昧に怒られてモチベーションが上がる人ってそんないっぱいいるんですかね。それなら普通に長めの休憩時間を自由行動にしちゃうとか、1日2クールに分けて練習するとか、無理に体育館のステージで練習しないとかいろいろ効率を上げる手段はあると思うんですよ。
ちなみに別に音響そこまで会場と似てるわけでもないのに(なんせ地方大会からしKitaraだぞ……あの北海道最強の音響性能を誇るホールだぞ)体育館でやる意味はマジでわからないです。ネット引いてるとはいえ私のやってたホルンって編成上一番端で、半円を描くように配置するのでステージ端に近いんですよ。ボール射程圏内なんですよ。超怖かったです。どう考えてもボールが怖くて練習効率はマイナスもいいとこです。

というわけで吹奏楽部時代の恨みつらみになってしまったのでこの辺りで適当に終わろうと思います。
ちなみに吹奏楽部は最後まで勤め上げた(……)のに、なぜかいつも「やめたのに戻ってこなくちゃいけなくなってむっちゃ周りの見る目も痛くてしんどい」みたいな夢ばかり見ます。おかしい。大学の中国文化論研究室はちゃんと逃げたら全然悪夢に出ないしおかしい。

結論:気軽に「お前らもいろんなものを犠牲にしろ」って言う奴には注意だぞ☆

それではー!