三十路になった発達障害児の心に浮かぶよしなしごと

ADHDとASDを脳内に引っさげて今日もブレーキのないまま止まるかぶつかるまでアクセルを全開にするんだ。


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ある発達障害ガールのお母さんより ~前回の記事で話題にした友人から「もっと書いて!」と言われたので編~

そう、それは3日ほど前の話でした。

前回の記事の中で取り上げさせてもらった友人に書いた後で記事を送って事後承諾をもらおうとしたところ、「もっと書いて!」と言われたのでした。

burnup-adhd.hatenablog.com

 

「実際もっと前から悩んできたし、もっといろいろ試行錯誤してきたから、こういう例もあるんだよっていうサンプルケースの1つとして知らしめて!周知して!」とのことです。わかるわーサンプルは多ければ多いほどいい。特に発達障害ってほんと、いろんなケースがありますからね。とりあえずごちゃっ☆とでも症例があるに越したことないって感じします。ありがとう友人。

 

というわけでせっかくなのでインタビュー記事風に編集してお送りしたいとおもいます。

今回お話を伺ったのは、2人の娘さんの母である三倉K子さん(仮名)。

活発な印象の女性であり、娘さん達が通う小学校でもよく読み聞かせや学習指導のボランティアとして活躍しておられるとのことだ。

「それでもやはり、学校としてはあまり娘の発達障害について重大だとは思っていないみたい」と語るK子さん。先日から児童精神クリニックに通い始めたのは、小学5年生の上の娘さんだそうである。

 

K子さん「もちろん、学校の先生方はちゃんと娘のことを見ていてはくれるけどね。今年度の担任の先生は最初の受診(現在のクリニックとは別の病院)にも一緒に来てくれたし、締めるところは締めて、話は親身に聞いてくれるからありがたいなって」

私「確か今年教員生活1年目の先生だったよね?」

K子さん「そう、体育担当の男の先生ね、小学校だから家庭科も教えなきゃいけないんだけど、頑張ってる(笑)」

私「ああ、確かに(笑)料理とかはともかく裁縫とか、それこそ家庭科の授業でやったきりって人も多そうだからね」

K子さん「あとは教頭先生も話を聞いてくれるし、男の子のイタズラが度を過ぎたりしてもびしっと叱ってくれるね。保健室の先生も若い女の先生だけど、娘の処方してもらった薬の内容とか聞いて副作用なんかも調べてくれたし、食欲減衰とか眠気のことも気にしてくれるって」

私「そう考えると今の小学校は雰囲気もいいし、先生方とも連携しやすい感じかな」

K子さん「かなり感謝してる。まぁ3年のときの担任がものすごく酷かったんだけどね、4年になったときに変わってくれてよかった。そこからまた変わって今の担任の先生だけど、来年も続けてお願いしたいなぁ」

 

●生育歴的なおはなし

K子さん「幼稚園の年少の5月くらいにね、他の子を噛んだりとか突き飛ばしたりとかあったんだよね。下の子の発育相談のときに一緒に保健師さんに相談したら『言葉の遅れがあるんじゃないか』って支援を勧められたんだけど、そこはどうも微妙な感じで」

私「あながち間違ってはいないんだろうね、口で伝えられないからこそ行動に出ちゃうわけだから。それが『言葉』の遅れか『コミュニケーション』の遅れなのかってのは難しいとこだけど」

K子さん「結局その言葉の支援は微妙なまま終わっちゃったなぁ、それから年中のときのお遊戯会ではみんなが歌う中でサボタージュ決めちゃって」

私「4歳だよね?そこでサボタージュとは大物ですね」

K子さん「うん、寝っ転がってハナクソほじって飛ばしてた(笑)めっちゃ恥ずかしかった……年長のときは可愛い猫ちゃんの役だったから、一生懸命やってたね……」

私「いやわかる。可愛い役やりたいもん。私も年中のときはおひさま役やりたかった」

K子さん「おひさま?(笑)何やったときなの、それ」

私「実際には『ねずみの嫁入り』のねずみの女の子のチュー子ちゃんだった」

K子さん「めっちゃ主役じゃん!」

私「うん、親に『おひさまがよかった』って言ったら『でもチュー子ちゃん主役だよ?』って言われて完全に気を取り直したね。単純で目立ちたがりだから(笑)」

 

K子さん「で、小学校1年生の時にね、それまで普通に箸を使えてたんだけど、使えない子の真似したらそのまま使えなくなっちゃったってことがあってね」

私「ああ、意識して別の持ち方にしたら、かえって戻せなくなっちゃったんだろうね……」

K子さん「それから直すのに5年……だからほぼ今までずっと直してたって感じ。まだちょっと使い方が変だしね」

私「一瞬で崩れて直すのに5年かぁ……でもそんなもんかもしれない、私もある朝突然嫌いになった長ネギを普通に食べられるようになるまでそのくらいかかった」

K子さん「それ、同じ?(笑)」

私「多分?(笑)」

K子さん「えっと、それから次は3年の3学期か、クラスのボンク……大変元気のいい男の子に虐められて、学校は好きなのにいじめられるから行きたくないって状態になっちゃったのね」

私「その時は確か、今とは別の担任の先生?」

K子さん「そう、知ってて放置してやがったんだよね!というかいじめがひどくなって明らかになったのが3学期なだけで、1年通してずっとやられてたみたいで」

私「あ、そうか、その『3年生のときの物凄く酷かった担任』か」

K子さん「その時はもう教頭先生と保健室の先生は同じ人で、相談したりとか『トイレに逃げろ』とかいろいろ対策は考えたんだけどやっぱりダメだったし、どうしても担任が動いてくれないとどうしようもなかったね……4年になったら別の女の先生が担任になって、がっつり叱ってくれるようになって安心したんだけど、今度はプールで同じ子にセクハラされてね」

私「ああ……また別の形になっちゃったわけだ……」

K子さん「そのときは別の女の子達の親御さんとも連絡取って、代表して言ってくれた人もいたから全面的にその男の子と親が謝ってはいるんだけどね、まだやっぱりわだかまりはある」

私「だろうねぇ、謝ったから解決ってできるもんでもない」

K子さん「とはいえ形の上では解決してるのがね、許してはいないけど。あと本人も5年生になってだいぶ落ち着いてきた感じはあるね」

私「ADHDは小学校高学年くらいで徐々に落ち着くパターンが多いみたいだからねぇ」

K子さん「ちょうど病院も変えたし、そこの先生は親子両方の話をちゃんと聞いてくれるからいい方向に行くといいなって」

私「それで前回の『ホワイトボードとキッチンタイマー』を試したって話になったんだよね」

 

●その前もいろいろ試したんだよ!って話

K子さん「そう、まずいろいろ試してきたんだよ、この1年ね。まず困った時に使うおたすけカードを使ったんだけど1回も出さなかった」

私「困ったときには既に存在が頭から飛んでるのかもしれない……」

K子さん「えっと、あとは自分で1日のスケジュールを考えて、クリップボードに貼らせるのもやったね」

私「視覚的に見られるようにするのと、自分の手で書くってとこがキモだった感じだね」

K子さん「でも見ちゃいなかったね」

私「書いて満足しちゃったやつかな……(笑)」

K子さん「あと、冷蔵庫にチェックシートを貼ってたけど、あれも飽きたらやらなかった。正直『どんだけやねん』って」

私「冷蔵庫はね、私も歯磨きカレンダーとか学校の長期休みで配られたやつ、冷蔵庫に貼ってたのに最終日にがががっと塗ってたから……」

K子さん「で、結局ね、本人が気をつけるとか気をつけないとか、そういうレベルじゃないんだろうなってなった」

私「まさに『注意欠陥』って名前のつく障害だからねぇ」

K子さん「それで、病院で言われたのが『視覚と聴覚の両方から情報をインプットする』ってことだったのね。それでそういう工夫のリーフレットもらって『鞄にパスケースをつけて、その中にやらなきゃいけないことリストを入れる』とかが参考になったよね」

私「そうだね、メモは能動的に見なきゃいけないし、そうやって『ここにやるべきことが書いてる』ってはっきりしてるのはやっぱわかりやすい」

K子さん「あと、チェックリストとかって変化がないわけじゃない。ホワイトボードに書いてある内容、朝は自分で書いてるんだけど、帰って来る前は私が書き換えてるわけだから、変わるでしょ?」

私「うん、変わる変わる」

K子さん「そう、朝と違うことが書いてあったら新鮮なのかな、とか。あとキッチンタイマーも17時半に鳴らして、鳴ったら洗濯物をしまう、とかやってみてる。すぐダラダラするけどね~」

私「ダラダラする側の気持ちもわかってしまうからな~ごめんねお母さん(笑)」

 

●ワンオペ障害特性への対策(怒)

K子さん「でもそういう工夫に関しては旦那は役に立たない。考えてくれない」

私「できてしまう人だと必要性を理解できないのかもしれない……」

K子さん「あと過保護だね。小学生2人で留守番させたがらない」

私「うちは母の方が過保護だったからな……」

K子さん「中学生くらいになったら自分で県外でも行けるでしょ?って。ミュージカルとか見たいのがあったら自分で行ってきなさいって言うつもり。実際今は一緒に連れてってるけど、物販は1人で並んで好きなの買ってたからね」

私「いい経験になるからそれでいいと思う。あと物販列に5年生が並んでたら和むな……かわいいな」

K子さん「しかしそういうのも含めて、やっと『クラスの子を噛む』とかそういうののスタートラインに立った感じがする……」

私「おめでとう!そしてようこそ!」

K子さん「ありがとう!ほんと旦那はその頃から頓着しなかったし『どうすんの?』って言われるけど、そんなの私が知りたかったし今も知りたい。手探りで悩んで、いろんな機関や人に相談して、その苦労がわかるか!って当たり散らしたい」

私「ああ、うん……解決策を知ってりゃ苦労しないんだよ、ってね……」

K子さん「てか褒めてくれなくていいからテニミュのチケット代をくれ(笑)」

私「そっちかぁ(笑)」

 

●学校とは蜜月です

K子さん「学校にはさ、補習授業のボランティアとか読み聞かせボランティアとか、あと去年と今年は委員会があったから月2回くらいは顔出してるし、そのタイミングで情報交換とか結構できるんだよね」

私「委員会は今年で終わりだっけ?」

K子さん「そう、お役御免。だから行く回数は多少減るけど、ボランティアは続けるつもりだし、あまり変わらないと思う」

私「直接担任の先生とかと話せるのもあるしね。あとやっぱり協力してくれる相手には協力で返したいってのは人情だから、WIN-WINの関係というかいいことだと思う」

K子さん「子供達は可愛いしねぇ。最近『娘ちゃんのママ、オタクなのー?』とかって言われるようになってるけど、だから何?って。あとさ、私がオタクじゃなかったらこんなに色んな経験させてあげられなかったと思うからオタクでよかったとも思うよね。子供には辛いことでも楽しいことでも、出来ることはなんでもいろんな体験させてあげたい。」

私「深イイオタクの話になってしまった……でもオタクだからこそ広がった見聞は多いからそれはほんとわかる」

K子さん「あと、ADHDだからって言い訳するわけじゃなく、本人にも悪いところはあって、それがクラスの子に不快感とか与えたかもしれないけど、だからっていじめていい理由にもセクハラしていい理由にもならないからね。どっちに理由があっても、相手が嫌なことはしちゃいけないって2人の娘には言い聞かせてるし、そうできるようになればいいなって思う」

私「素敵なお母さんだ……そうだね、嫌なことをするときは殺(や)る気で徹底的に行く時だけだよね」

K子さん「戦闘狂っぽいまとめ方をするんじゃない(笑)」

 

●最後になんかいい話っぽくまとめていくスタイル

私「あとは娘さんの発達障害について学校側がそこまで重大だと思ってないのは、お嬢さんが元々柔らかい性格なのもあるだろうし、『よくある事例レベルですよ~』ってのもあると思う。ただ、学校の『よくある』は母数が大きすぎるから……」

K子さん「よくある程度、ってのはそうなんだろうけど、目先のことよりやっぱり親の労働力やサポートがなくなったときのことだよね。私もあと100年ピンピンしてるとは絶対言えないから」

私「何らかの形で行政サポートなり受けつつでも、将来的に自分で生きていけるようにしないとってことだよね。言ってしまえば親がいなくなっても、だ」

K子さん「そう、長期的には本当にそう。あと娘からしても、今の状態から変えたいし変わりたいけどどうしたらいいかわからないし、わかったとしても継続できない歯がゆさみたいなのもありそう」

私「すごくわかる。いやわからないんだけどさ、わからないってのがすごくわかる感覚」

K子さん「でもだからこそ、こうやっていい病院、いい先生と巡り合って、薬飲み始めて……ってのがスタートラインなんだとは思う」

私「そこは本当におめでとう。スタートに立たなきゃまずコースを走れないからね、そこは私からも全力で応援させていただきたいです。本日はありがとうございました!」

 

※内容はご本人から提供いただいたものですが対談の事実はフィクションです。

※「いろんな悩んでる親御さんに届けー!」ってことでK子さんの体験をご提供いただきました!圧倒的感謝!!