三十路になった発達障害児の心に浮かぶよしなしごと

ADHDとASDを脳内に引っさげて今日もブレーキのないまま止まるかぶつかるまでアクセルを全開にするんだ。


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コンサータを2週間くらいキメてやめた感想

こんにちは、体調が良かろうが悪かろうが多動は多動。旅硝子です。

仕事やめた話とも絡んでくるのですが、今回はコンサータ体験談といきたいと思います。

 

これはあくまで私の体験談であって、コンサータを飲んだ全ての人がこういった状態になるわけではありませんので、私の体験談でコンサータの服用をスタートするかの判断は絶対にしないでいただきたいです。私の周囲では、コンサータの服用で日常生活が送りやすくなったという人がかなり存在します。

 

ただ、あくまでこういうパターンもあるんだよっていうことで、私の備忘録としての記述と共に、これもしかしてコンサータのせいかなーと似たような状態で悩んでいる人がいれば、参考になればいいのかなーと思います。

 

きっかけとしては、職場で「旅硝子さんあんまし好かれてないよ」みたいなことを上司に言われた時でした。

いや上司に悪意は多分なくて、私の隣の席が空席、もしくは机すらなかったため寂しさで病みかけて、誰かの隣に置いてくれーみたいなことを言ったときに「旅硝子さんの隣になりたくない人多かったんだよね」と衝撃の事実を告げられて、実は特に悪感情なく「みんないい人だなー!」と思いながら働いてた私は大ショックを受けたわけでした。

あまりにしんどすぎて声が出なくなったくらいですよ……何だこのハッピーバースデー命輝く瞬間……おかげで夫と妹と一緒にご飯食べに行った時結構きつかったです。筆談と食事を両立するのはきついんだ……両手利きになりたいと初めて本気で思いました。

あ、ちなみに声は1ヶ月強ほどで出ました。詳細は仕事やめた話にて!

 

さて、その声が出ないときに受診した病院で、事情を話したところ「とりあえずコンサータ飲んでみる?」と言われました。

私の隣になりたくない人が多い理由として、「動きがうるさい」とか「机の上のホコリを拭かない」とか「人の話が終わる前に食い気味に話しがち」とか(ちなみにこれ、今でもやってるのはわかるけど全く自覚ないんですよね)「人の話聞くときの姿勢が悪い」とかいろいろあったんですけど、だいたいADHDの特性に由来するからってことで勧められました。

以前ストラテラをある程度増量したけど、結局効果が感じられなかったのと、その頃まだ自立支援医療の申請が通らなかったので負担が大きすぎてやめてたんですよね。

そんなわけで、とりあえずコンサータを18mgでスタートしました。

 

効果は抜群でした。

もう飲んだ翌日から効きました。そう、効果は、ありました。

肉体の多動も収まりましたが、精神の多動が全くなくなったというか、例えて言うなら極彩色で渦巻いていた脳内が全くの灰色になった感じでした。

そこでちゃんと思考が順序だってクリアになれば良かったんですけど、そもそも思考能力ががくっと落ちた感じがしたんですね。想像力も消えました。無論創作意欲もそれに伴って消えました。

むしろ、意欲全般が消えたんですよね。確かその週、結局1日しか会社に行けませんでした。凄まじいくらい全てが無味乾燥な感じでした。

 

もう1つ、「コンサータは眠りにつきにくくなるから朝飲むといいよ」と言われてその通りにしていたのですが、飲んでしばらくすると凄まじい眠気に襲われました。

眠気、どころではなくもう入眠が早いんです。すこーんと寝て夢も見ない。

私は睡眠導入剤というものがほぼ効いたことがなく、また幼い頃から入眠に1時間以上かかるのはザラだったので、これ自体がびっくり体験でしたが、コンサータ飲んで眠くなるならそりゃ出勤なんざできるわけがなく。

ちなみにニキ・リンコさんが同じ成分のリタリンで同様のことが起きて、睡眠導入剤代わりに1回16分の1錠とかの本当に微量の処方をしてもらっていた、という話がありました。不眠の原因が多動に由来している場合、どうもコンサータによってむしろ入眠困難が改善するようです。

その結果単なる睡眠過多になりましたが……どうもその頃いろいろ疲れていたりストレス溜まってたりで眠りが浅くなっていたのが、一気に入眠が改善されたせいで眠り続けてしまったらしいです。正直コンサータのすっきり入眠だけはちょっと手放しがたいと思ったのは事実です。

 

ともあれあまりに気力が減った状態で、翌週はなんとか仕事に行って声は出ないままホワイトボードで意思疎通しつつ働いてたんですけど、やっぱり私にとって「多動じゃない人生」がしんどい、ということに気づいてしまったのと、あとおそらく副作用なんですが顔の皮膚がパリパリになって痒くと粉状になって落ちる、みたいな症状が出てしまって、ほぼ2週間でやめました。

無論あっという間に多動に戻り、ついでに声も戻ってきた瞬間「あ、もうだめ無理仕事行けない」と思って結局仕事もやめました。

 

結局はやめた原因は2つにまとめられると思います。

1つは、私が活動するための精神的なエンジン部分が、そもそも多動と連動しているらしいということです。

私は元から自分は「最大出力はやたら高いがムラっけの凄まじいエンジンを搭載したブレーキのない車」だと思っていますが、コンサータがムラっけ改善やブレーキとして役立つのではなく、エンジンに火が入らない状態にしてしまったらしいんですね。

おそらくコンサータが効果的に効く人は、多動の部分がモチベーションを下げたり、計画性を阻害したりしているため、その多動部分を抑制することで活動が安定する、つまり多動の部分と行動力の部分は別々になっているのではないかと思います。

私の場合は、多動と行動力が脳の中で同分野……なんじゃないかなぁ。

それと空想力ががくっと減って、創作活動が全くできない状態になっていたのも怖かったですね。やっぱり私は文章を書くことに、自分のアイデンティティの多くを見出しているのだと思います。

 

2つ目は、発達障害の特性を抑制した私は、私であるのか、というアイデンティティの問題です。

私は自分の発達障害である部分自体が長所であるとは思っていませんが、私の長所には発達障害の特性によって伸ばされている部分が多いとは思っています。それは空想する力であり、おそらく独自性の高い発想力であり、何を言うにもオチをつけて人を笑わせたくなる話し方だったり、文章力だったり、思考のスピードだったり、分析を行うことで現状や自分の感情などを受け入れる力だったりします。

そういったものがなくなった私は、確かに会社に行って一定時間働いてお給料をもらえるとしても、「私」である意味があるのか、ひいては生きている意味があるのか、と思ったわけです。

もちろんこれは、私が結婚していてすぐには生活に困らないために通せるわがままであると思います。それでも私にとってコンサータを飲んではっきりしたのは、「『発達障害ではない私』の人生って楽しくない!」ということでした。

だから、私はコンサータをやめました。

 

もしかしたら、ストラテラはもっと違う作用をする薬ですし、チャレンジすることがあるかもしれません。それが私が不便と感じている部分、例えば遅刻癖だとか締切守れないとか、そういったことを改善してくれるなら続ける可能性はあります。

しかし、やっぱり私の個性の根幹には発達障害の特性があまりに関わっています。少なくともまともに仕事ができなかったりする以上、障害であるということに異存はないのですが、けれどそれは「発達障害を抑制する」ことで解決するものではなかったのです。あくまで、私にとっては。

 

今、結局あまりスケジュールが厳しくなく、自分のムラと飽きっぽさに対応できる仕事を在宅で探しています。

在宅でもやっぱりしっかりスケジューリングされる仕事が多く、そういった案件に応募できない自分をめんどっちいなこいつ!とよく思いはするのですが、それでも今日の私の脳内はやっぱり極彩色だったりくるくる移り変わる騒がしくてうるさい状態で、それは今の私にとっては結構楽しい場所なのです。

 

というわけでこの締めは綺麗なんじゃないかと自画自賛して今日はここまでとしたいと思います。結局どこかでオチつけないと文章書けない奴だな私は!!